3月20日、17時30分 五反田
昼間は季節外れの暖かさでオックスフォードシャツ1枚で過ごせたが、この時間になると春秋ほどのコートが必要。
私はmont-bellのダウンライナーコート。数年前から依田くんが着てて今季は私も欲しいなあと言ったら、「僕は毎年買ってたけど、もう今年からは着ません」とアンテナの低さを完全にディスられたけど、それも含めて私らしさなので11月頃に買ったものだ。
軽くて、丁度いい暖かさで、ちゃんと安い。
私はJR五反田駅から1kmほど離れたコインPに車を停めて、先日もらったFAXに記されたビルに向かって歩いている。こんな都内には電車で来たいのだが、直前の仕事の関係でそのまま車で来た。夕暮れの五反田の繁華街は居酒屋に向かう方々で賑わい始めている。この後の仕事と帰りの運転を控えている私にはうらやましい光景だ。
5分程歩くと目的のビルに到着した。
ブログを書く用にエントランスの写真を撮りたかったが、そこにはすでに 「 (株)O社 」と書かれた案内看板としての紙を持った恐らく元O社の取締役が立っていたので、気の小さい私は撮影が出来なかった。
看板を持った方は暗い顔をしている、私は明るく「お世話になります」と挨拶をしたが、その方は暗い表情のまま会釈した。天邪鬼な私はこんなふうにちょっと違う空気を放り込むのが好きだ。性格が悪い。
ビル2階のレンタル会議室に入った。(株)O社が今回準備した会場だ。
会議室というか講義室といったほうが分かりやすいかも知れない。奥にはホワイトボードや講壇があり、それに向かって150人位は座れるイスとテーブルが並べられている。150人というと広く感じるが、天井が低いので広い感じはしない。サラリーマンの頃はこういう所で色々な研修を受けたので、その頃を思い出す。
参加者は30人ほど、なんとなく前から順にまばらに座っているので、私はその最後尾辺りに同じように何席か空けて座った。空いているのでゆっくり座れる。
参加者は30人ほど、なんとなく前から順にまばらに座っているので、私はその最後尾辺りに同じように何席か空けて座った。空いているのでゆっくり座れる。
(株)O社主催の説明会は18時開始、私の到着はその5分前。
奥の講壇の横には、60歳は超えたおじいさんが座っている。恐らくこの方は弁護士さんだ。1月以降電話やFAXでやり取りしている弁護士さんだ。件の業界はいまだにFAXなのだろうか、本当に止めてほしい。
弁護士さんと講壇を挟んだ反対側には、一目で仕立ての良さが分かるスーツにビシっと整髪料の効いた七三分け、黒縁メガネでちょっと色黒でザイルっぽい40後半のオラオラ感が見える男性が下向き加減に座っている。(株)O社の元社長だ と直感した。
私は(株)O社とは細い付き合いだったので、社長などの顔は見たことが無かった。15名ほどの社員がいる(株)O社の担当者1~2人との付き合いだけだった。
その(株)O社が1月に破産申請し、少々だが売掛金のある私も債権者となり、今夜はその債権者に対する説明会という事で、このレンタル会議室まで来たのである。
・・・・
1月下旬、(株)O社の担当者から電話が鳴った。
先日工事した物件の事かな、なんだろうな と電話をでた。
担当者は言った「ちょっとヘビーな話になってしまいます、、、ウチの会社潰れました。。」
オイオイ。
「本当に申し訳ないです。」
「先日の工事代金も、私の方ではどうにもする事ができません。」
「なにせ私も今聞いた情報なので、もうどうすればいいのやら。」
そりゃそうだろう。彼を追及してもどうにもならない。とり急ぎ彼の進退を聞いたが、とにかくそれどころではない様子だ。
まだ小さい子供もいる彼自身は一夜にして職を失ったわけだが、彼は出来る限り平静に親身に順番に連絡をしているようだ。
彼の今までの会社携帯でなく、個人携帯の電話番号を聞いてその時の電話は終わりにした。
その日の夕方、私の元に弁護士から一通のファックスが届いた。それは(株)O社の業務停止と支払い停止の案内だった。
この日は請求書を発行する予定の日だった。
入金は期待できないが(株)O社宛ての請求書を作って(株)O社宛てに送る。それとファックスの主の弁護士にも送る。
後の確定申告のことからも請求書などの発行は必要である。
後の確定申告のことからも請求書などの発行は必要である。
この金額がとりあえずすぐに手に入る事はないだろう。
いや、このまま入らない可能性が高い。
いや、このまま入らない可能性が高い。
いや、無かった事と思うくらいが丁度いい。
しかし辛い。ツラい。つらい。
2/2 に続く
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