最終日の朝、快晴である
快適系バンガローが10棟程立つアクティビティスト向けの宿だと思う
もちろん我々のように自転車で訪れるにも使いやすくてよい
客は我々の他には5組位で、その人達はみんなダイビング客だった。
おかげさまでぐっすり眠れた なんて言うのは私だけで、
久さんもフジタ君も森のいびきや壁を蹴るドタバタ音、二人の頭上を跨いで行く夜中のトイレのせいで眠りは浅かったよう。
おまえは普通に暮らしてるたけで周囲に迷惑をかけてる事を知れ といつも妻に言われている。
妻におまえと言われた事はあるか の話をしよう。
バンガローから海岸までは300mほどだろうか、三人で早朝の散歩に行った
この辺りの海岸は溶岩地で黒く険しい岩場だ。
もしこれが砂浜のビーチならば大きな観光資源なのだろうが、そうもいかない点も大島らしさであろう
宿の食堂で朝食を食べながら、今日の東京竹芝ターミナル行きの船がどちらの港に来るか調べる。
岡田港と元町港のどちらか、その日の波の様子や天候により船が着く港が変わるそうだ。
そんなtipsも自分達が島にいる事を気付かせてくれる
朝食の後、最後のライドは、宿→岡田港→元町港
これを完走すれば島1.125周だと久さんは言う
今日走るエリアは森さんがイメージする島一周の風景ですよ とフジタ君が言うように、素晴らしい海岸線を走る
そうそうこれ、The 島一周
岡田港は今日は船が着かないので閑散としてた
土産屋と弁当屋はかろうじて開いていた
この島で染めた手拭いを購入した
港の職員しかり、近隣の商店しかり、船が着くか否かでその日の仕事、動き、生活が変わるのだろう
島時間で暮らす方々の気持ちと空気と誇りを感じる旅だった
この島ではスリーポインテッドスターもエグゼクティブラウンジも走っていない
それは生きるという本質を見誤っていない
ランチ
岡田港で購入した手作り弁当を元町港で食べる
弁当をどこで食べるかでも、森はゴタゴタ騒いだ気がするな
フジタ君が、あそこの大階段で食べましょうと提案してくれたのに、
ちゃうな~!と自分勝手な事を言った記憶がある
このあとの竹芝行きの船は14:30発だ
昼頃から徐々に船の乗客らが港に集まってくる。
一昨日の往路の船で見た顔も多い。釣りやダイビングや島一周、みんなそれぞれの島を満喫し、これから東京に戻る。
3日目の日曜日、大島発14時30分→竹芝ターミナル着20時、
良く出来たダイヤだ
そして明日の月曜からいつもの日常に戻るというジャストフィッター。
埠頭先端のコンテナまで自転車を届ける
往路と同様、このままコンテナに載せる1800円
一切の安全柵のない埠頭はいつ来てもハラハラするが、
それよりも船の接岸を優先させている点を考えると、大きな事故は無いと言うことだろう
咥えタバコの港湾職員達と共に自転車を積む
自転車と自転車の間にはプラダン的ななにがしかを挟む程度
我々のようなエブリディバイクなら望むところだが、夢の繊維のようなキンキンのロードは控えた方か吉か。
それぞれの想い出をのせ出航
ボワアーーー!(汽笛)
さらば大島
さらば激坂
さらば道に生息する白い羽虫
さらばキョン
さらば最終日の露天風呂に来たギャル
さらば夕食の時に水中動画を見せてきたダイバー
さらば左右サイズ違いのクロックス
さらばスニーカーも洗えるコインランドリー
さらば女将
死にたい位に憧れた花の都大東京に、不本意なから戻ります
レンタル毛布100円で寝るフジタ君
恐らくだね、元気なのは私だけかと思う。
好きに騒いで、好きに寝させてもらった私だけは元気。
三日間の島での生活を過ごした船客達は、俗世間を離れたハナタレのようだ。
座り込んでビールを飲み、甲板に寝転ぶガールだって珍しくない。
靴は汚れ、無精髭も伸びる
そんな中、この復路シップのオモロい点は横浜港に寄港する。
横浜港から竹芝までナイトクルーズ的な企画乗船を催していて、横浜港から新たに乗客(ほぼカップル)が沢山乗ってくる。
船は竹芝までのデートクルーズになり、小綺麗にお洒落したカップルがデッキに溢れるのだ。
明らかに空気が一変したのをハナタレ乗客全員が感じた
ついさっきまで泥臭く島で暮らした我々にその花束、そのカルティエ、そのミニスカート、そのドルチェ&ガッバーナ は刺激か強い。
デッキに僕達の居場所はなくなった
夜景は最高に素晴らしいが、早く竹芝に着いてくれ。
久さん、フジタ君、楽しい旅をありがとう
あんなに辛い島一周だったのに、もう行きたいのは何故だろう
Fin