2019年4月24日水曜日

五反田の夜 2/2






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静かで重苦しい五反田のレンタル会議室。
説明会に参加した我々取引業者の人数は30~40人ほど。この会議室にいるみんなが18時の説明会開始を黙って待っている。
150人は入るであろう会議室はガラガラである。みんな口を閉ざしたままだ。
40後半ザイル社長は、下を向き神妙な顔をし微動だにしない。

18時と同時に、おじいさんは立ち上がり、説明会を始めた。
自身を担当弁護士と紹介し、続いて40後半ザイル社長とその横に座る取締役3人を紹介した。ザイル社長や取締役の事は呼び捨てである。ともすれば卑下した表現とも感じる。会場に集まった我々債権者の心情を考えての事であろうか。おじいさん弁護士のゆっくりとした口調は柔らかさの中に賢さと強さを感じる。
そして40後半ザイル社長の謝罪があった。よくある定型文である。ザイル社長は最後深々と頭を下げた。


説明会の第一部、弁護士から破産に至った経緯の説明が始まる。
話は5年前まで遡った。平成26年(株)O社は港区芝への事務所移転をした。モダンでお洒落な事務所移転は1000万円の費用がかかった。また港区という都内の一等地での高額な家賃はジリジリと経営を苦しめた。
同じく平成26年、インテリア関係の(株)O社とは別に、ザイル社長はアパレル関係の会社AA社を設立した。
このAA社は、ザイル社長の熱い思いとは裏腹に業績不振が続いた。AA社は業務内容の特徴もあってか派手な広告費がかかった。
結果(株)O社の利益をAA社に補填するような状態が始まり、それが慢性化。

この辺りから経営の歯車が狂いだし、各方面からお金を借りては返し借りては返しの自転車操業が続いていた。長期貸付金は借りれなくなり、短期貸付金に頼る経営であった。会社名義だけでなくザイル社長個人名義でも借金をし、それを会社経営に補填した。
平成30年12月、ザイル社長は返済のためであろういつものように3000万円の短期貸付金を銀行に申し出た。
だがしかしそれが断られてしまった。早急に他行にも相談したが同じように断られる。ついにこの時が来てしまった。
手詰まりである。
翌1月、ザイル社長は破産申請について弁護士に相談することになった。


レンタル会議室は凍りついた空気だ。
弁護士は10分間の休憩を設定し、その後は説明会第二部(株)O社の保有する資産財産の説明である。

弁護士からの説明、ザイル社長が私的に財産などを隠せぬよう法律条例に基づいて厳正に調査してる旨を話した。
買掛金は1億4000万円ほど、貸入金が1億5000万円ほど。
売掛金は1400万円。そしてもちろんザイル社長個人の住宅や土地の金額も出たがそれは本当に雀のtearsだった記憶がある。いやもちろん世田谷辺りの不動産なのでそれなりの金額だが、億の話の後では雀のtears。
弁護士は、現時点で債権者のみなさまへの配当は楽観視できない状況と言った。
この表現、私はこういった局面は初めての事ではあるが、これはもう支払い無いなと感じた。

また余談ではあるが、ザイル社長は12月勤務分1月勤務分の給与は受け取っていない。社員に関しては1月勤務分の給与は現時点で支払われていないと。



最後に債権者の我々からの質問などの時間が設けられた。

債権者の一人が口火を切った「オウ!社長、なんでこんなことになった?」その声はこの日初めての弁護士とザイル社長以外の発声であり、それにより会場の空気が変わった。少しザワつく雰囲気になった。
「うちは10月から支払い滞っているぞ」何人かが一同に声を挙げる。強い怒号を飛ばすような方はいないが、ドラマで見たことがあるあの光景だ。
ザイル社長は言う「受注が継続して上手くいかなかったり、大きな案件を失注したり、見込みが甘かったです。申し訳ございません。」
声を押し殺したような小さな声である。オラついた容貌からは想像も出来ない弱い声ではあるが、顔つきはしっかりしている。内容はテンプレート的でどうも具体的ではない。
債権者からの苛立った声は、ザイル社長の隣に並ぶ3人の取締役にも向けられる。「経理を見ていてどう思っていたか。改善策を話し合わなかったのか?」
ザイル社長や取締役の回答は、まるで模範解答のようで真実味に欠けるというか、本音が出ていないようなそんな印象である。
債権者もイマイチ納得いかないというか、苦虫を噛みつぶし続けている気持ち悪さ。

そんなやりとりが続く中、おじいさん弁護士は口を挟むように話をした。今までのようにゆっくりとした口調だ。
「私から一言いいですか。
私がザイルから相談を受けて僅か2週間だが、その2週間で(株)O社の中を見て少々思う事がある。
どうも身の丈にあっていない事を続けていたのではないか?
贅沢をし、派手な事を好んでいたのではないか?どうですか?」

一拍おいて、ザイル社長は答えた「仰る通りです」

私は、スっと鼻が通るような感覚を感じた。
それは会場の他の債権者も同じではなかろうか。
会議室の気持ちが一つになるような、なにか本当の理由を聞けたような気がした。私も今日初めてザイル社長を見たその印象そのものを、回答として出たなんだかスッキリした。

債権者の一人は言った「事務所や倉庫の賃料もそうだし、外車を乗り回したり、なんだかタレントみたいの呼んでパーティをよく開いたりしてたけど、そんなのイラネーだろうが」

ザイル社長は「仰る通りです」



回答が、社会的であるか、節度があるか、スマートであるか、情状酌量の余地があるか、そんなことはどうでも良くて、人間は「本当の理由」が聞きたいのである。

19時頃、(株)O社の破産に至る説明会は終わった。とてもいい経験になった。
次は5月の家庭簡易地方合同裁判所での債権者集会等だ。1円にもならないと思うが行く予定。お金ではない何かが得られる。


私は五反田のコインPから軽バンで帰路につく。


・・・

かつてサラリーマンの頃お世話になっていた会社の社長の話で頭に残っていることがある。それは不動産には執着するなという話。
固定費が高くつくのはバカバカしいぞ、地代家賃は安い所にしろ、もし途中でも高いと思ったらすぐにでも出ろ、自社ビルなんてもってのほかだ、維持が大変になったらすぐ手放せ、カッコつけてる場合じゃないぞ。

社長の言う事はウルセーと思う事が多いけれど、たまに響く事もあるので、今サラリーマンで悶々としてる人も絶対何か身になってると思う。


最後に自らにも問う。
どうも身の丈にあっていない事を続けていませんか?
贅沢をし、派手な事を好んでいませんか?どうですか?


2019年4月22日月曜日

五反田の夜 1/2



3月20日、17時30分 五反田
昼間は季節外れの暖かさでオックスフォードシャツ1枚で過ごせたが、この時間になると春秋ほどのコートが必要。
私はmont-bellのダウンライナーコート。数年前から依田くんが着てて今季は私も欲しいなあと言ったら、「僕は毎年買ってたけど、もう今年からは着ません」とアンテナの低さを完全にディスられたけど、それも含めて私らしさなので11月頃に買ったものだ。
軽くて、丁度いい暖かさで、ちゃんと安い。





私はJR五反田駅から1kmほど離れたコインPに車を停めて、先日もらったFAXに記されたビルに向かって歩いている。こんな都内には電車で来たいのだが、直前の仕事の関係でそのまま車で来た。夕暮れの五反田の繁華街は居酒屋に向かう方々で賑わい始めている。この後の仕事と帰りの運転を控えている私にはうらやましい光景だ。


5分程歩くと目的のビルに到着した。
ブログを書く用にエントランスの写真を撮りたかったが、そこにはすでに 「 (株)O社 」と書かれた案内看板としての紙を持った恐らく元O社の取締役が立っていたので、気の小さい私は撮影が出来なかった。

看板を持った方は暗い顔をしている、私は明るく「お世話になります」と挨拶をしたが、その方は暗い表情のまま会釈した。天邪鬼な私はこんなふうにちょっと違う空気を放り込むのが好きだ。性格が悪い。

ビル2階のレンタル会議室に入った。(株)O社が今回準備した会場だ。
会議室というか講義室といったほうが分かりやすいかも知れない。奥にはホワイトボードや講壇があり、それに向かって150人位は座れるイスとテーブルが並べられている。150人というと広く感じるが、天井が低いので広い感じはしない。サラリーマンの頃はこういう所で色々な研修を受けたので、その頃を思い出す。
参加者は30人ほど、なんとなく前から順にまばらに座っているので、私はその最後尾辺りに同じように何席か空けて座った。空いているのでゆっくり座れる。

(株)O社主催の説明会は18時開始、私の到着はその5分前。
奥の講壇の横には、60歳は超えたおじいさんが座っている。恐らくこの方は弁護士さんだ。1月以降電話やFAXでやり取りしている弁護士さんだ。件の業界はいまだにFAXなのだろうか、本当に止めてほしい。

弁護士さんと講壇を挟んだ反対側には、一目で仕立ての良さが分かるスーツにビシっと整髪料の効いた七三分け、黒縁メガネでちょっと色黒でザイルっぽい40後半のオラオラ感が見える男性が下向き加減に座っている。(株)O社の元社長だ と直感した。
私は(株)O社とは細い付き合いだったので、社長などの顔は見たことが無かった。15名ほどの社員がいる(株)O社の担当者1~2人との付き合いだけだった。


その(株)O社が1月に破産申請し、少々だが売掛金のある私も債権者となり、今夜はその債権者に対する説明会という事で、このレンタル会議室まで来たのである。





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1月下旬、(株)O社の担当者から電話が鳴った。
先日工事した物件の事かな、なんだろうな と電話をでた。
担当者は言った「ちょっとヘビーな話になってしまいます、、、ウチの会社潰れました。。」
オイオイ。
「本当に申し訳ないです。」
「先日の工事代金も、私の方ではどうにもする事ができません。」
「なにせ私も今聞いた情報なので、もうどうすればいいのやら。」
そりゃそうだろう。彼を追及してもどうにもならない。とり急ぎ彼の進退を聞いたが、とにかくそれどころではない様子だ。
まだ小さい子供もいる彼自身は一夜にして職を失ったわけだが、彼は出来る限り平静に親身に順番に連絡をしているようだ。
彼の今までの会社携帯でなく、個人携帯の電話番号を聞いてその時の電話は終わりにした。

その日の夕方、私の元に弁護士から一通のファックスが届いた。それは(株)O社の業務停止と支払い停止の案内だった。
この日は請求書を発行する予定の日だった。
入金は期待できないが(株)O社宛ての請求書を作って(株)O社宛てに送る。それとファックスの主の弁護士にも送る。
後の確定申告のことからも請求書などの発行は必要である。

この金額がとりあえずすぐに手に入る事はないだろう。
いや、このまま入らない可能性が高い。
いや、無かった事と思うくらいが丁度いい。
しかし辛い。ツラい。つらい。


2/2 に続く


2019年4月17日水曜日

イベントテント・四脚テント





イベント出展用のテントを新調したので、六仙公園に試し張りに行きました。天候は曇り。

左から、天幕とペグ袋、黒い収納ケース、グレーのフレーム、vansです。


まずフレームの四脚をグイーンと拡げます。
全開まで拡げず8割ほど拡げます。
フレーム四つ角のうち、手前一端だけが赤いプラパーツです。


幕にも赤い角が1ヶ所だけあるので、その赤い一端をフレームの赤い一端に合せます。すなわち幕は恐らく正方形じゃないのだと思います。
幕をふわっと載せて、四つ角はフレーム先端に差し込みます。
フレームを8割しか拡げてないので、簡単に差し込めます。


天幕とフレームの四つ角を全て差し込んだら、8割拡げのフレームを10割まで拡げきります。ここ、ちょっと力というかコツがいります。
それでピンピンに張ります。
この工程で、下を向いていたフレーム四つ角のうち2角は上向きまで逆反りになり、もう2角は水平くらいまで上がります。


遠景
ここから今度は四つの脚を伸ばします。

伸ばしました。


なんだかヘキサタープのような美しさを感じます。

かっこいい。


幕がとても小さくとても軽い。
UPF50+ ですって。
アイボリーっぽい色です。

脚には穴が3つあって、ここにペグが打てそうです。
フレームの高い所に白い張綱が4本付いていたので、本来はそれを張ってペグダウンが推奨なのだと思います。
でもその張綱がダサかったので外しました。今後はなにか格好いい張綱にするか、前述のように脚に直ペグにしようかな。



移動式営業しかり店舗営業しかり、そういった人が集まる所を作るのは憧れなのです。
憧れなのですが、自身の人徳と人脈の無さは知っているので、間違えないようにしています。







2019年4月8日月曜日

冬の色々 2





冬は特にマイボトル生活です。
コンビニコーヒーは紙コップを介さず直接ボトルにいれるのがいいですよね。
なのでレジでは「水筒あるので紙コップ要らないです」と笑顔で言うようにしてるのですが、10回に1度は嫌な感じで「紙コップでカウントしてるんで、もらってもらっていいですか」と店員さんに言われます。
私が笑顔で言うのは、例年のデータから嫌な対応されるのを知っているのでそれを回避しようと心掛けているのですが、それでもやはり嫌な対応をされる事が1/10あるので、もう何も言わず紙コップをもらうようにしています。
かつてチューヤンも同じ回答をされると言ってて、それはお前の声の掛け方に問題があるんじゃね、と言いましたが、そういう問題でもないようです。チューヤンごめんネ。





仕事が忙しくなると、車の荷室が散らかってしまいます。
ゴミ屋敷ならぬゴミ満載カーみたいなヤバい車がたまにいますが、
もしかしたらこんな時は私の車もそう見えているのかもしれません。
これは軽貨物なので、もっと大きな例えばハイエースなどにすれば解決できる問題なのですが、それは生活全体を見渡すと実は根本的解決でなくその時だけの瞬間的解決だと思います。

例えば住まいの事でも、部屋にモノが多いという問題、
収納を増やそうとか、広い部屋に引っ越そうとか、月極コンテナを借りようとか、それよりもその前にモノを捨てた方がいい。
モノを捨てるという技術を習得せずに例えば引っ越ししても、時が経てばまたモノで溢れます。
私は建築の仕事をしてるのですが、新築の時は素敵なおうちだったのに1年後伺うともうかつて住んでいた賃貸と変わらないワチャワチャ状況というおうちは多いです。
「新しい家に住めば部屋が広くなる、綺麗に保てる、素敵な暮らしが出来る」
と言うのはモノを捨てる技術を習得していない方には難しい。




タコ焼きパーティの準備です。
タコ焼き焼いたりするのはあまり興味がなく、ここまでの準備が楽しいタイプです。各具材をシエラカップにいれて準備すると、謎に楽しくなります。






東久留米の上野原というエリアの開発がすごい勢いです。
 一番嬉しいのはスーパービバホームが出来た事です。
1日居れるタイプのホームセンターです。
 こういった郊外型店舗オープンは旧き良き的な考えの方は眉をひそめるケースもあるようですが、私はだいたい賛成です。
開発は、併せて周辺道路が綺麗に整備されるし歩道も広くなる。安全面で大きく進歩します。街灯も増え花壇や緑も設けられたりして景観が良くなり、それにより治安も良くなります。
商業施設に限らず例えば新しいマンションもそうです。かつてマンション建築現場で働いていたのですが、巨大マンションの完成は町を発展させます。マンションが完成し、仮囲いが外れると町の景色が変わります。確実にかつてより綺麗になり暮らしやすくなります。それまで建築反対していた近隣住民の方々が、町並みが綺麗になったと笑顔がでる瞬間を幾度も見てきました。
いま東久留米駅前にもマンション計画が進んでいますが、楽しみです。

地域ローカルは、町の開発・マンションの建築を進めて人口を増やしたほうがいいです。特に若い人。子育て世代。人口が増えれば税収も上がるし、子供が増えれば町は活気がでる。それのスパイラル。
そして町に活気が出れば、古くからそこに眉を顰めて住んでいるガンコ親父の持っている家土地も資産価値が上がるって事に、ガンコ親父は早く気付け。


スーパービバの隣にはスーパー銭湯「スパジャポ」も出来ました。
夏の夜、友達みんなで風呂入ってサッパリして、大広間でちゃんとしたビール飲んで、帰り道は安い缶チューハイを飲みながら歩いて帰ってくるってことをやりたいです。
スパジアムジャポン
https://spajapo.com/


いつにも増して、うるせー記事を書いてしまいました。すいません。




2019年4月3日水曜日

冬の色々 1




今季の東京の降雪積雪は2月9日の1回だけでしたっけ。
この日の仕事は埼玉方面でして大きなバグには巻き込まれませんでした。都内の方はどうだったのでしょう。






木の含水率を計測する器械を導入しました。
DR.METERのMD812というAmazon的な製品なんですが、私の使い方が下手なのか上手く測定できません。
これから少しずつ使っていって、色々試してみようと思っています。





2/14
甘いモノを一切食べないのでチョコはありませんでしたが、妻と娘は手紙とソーラーパフをくれました。ソーラーパフ、秋ヶ瀬ロアで小沢君が使ってて凄い良かったんですよね。何がいいって話、今度永遠にさせてください。
いつも遊んでいる娘の友達らも、私に手作りチョコをくれて本当に嬉しかったです。こんな時の女の子かわいい。





やばいです。
駅前に大好きな居酒屋が出来てしまいました。
かくちゃん

メニューをみると、私の大好きなかぶらやをオマージュしているような気もします。かぶらやがルーツにあるかどうかは、大将にまだ聞けていません。

何度か言ってますが、デカねた系の串焼きより、小ぶりな方が好きなので私にピッタリです。
たとえば刺身もそうで、厚切りより同じ量なら薄切り2切れを口に入れた方が、中とろのトロけ方、カンパチの歯ごたえは美味しい。







東京クラシックス
アンフィレンジャー